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冬は枯れる季節ですね。

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

朝から部屋の掃除をしていたらクローゼットの中が気になってしまい、逆に散らかってしまった林です・・・

頭の中と部屋の中はリンクしているらしいんで、部屋がとっ散らかっている時はまず部屋を片付けております。

今日は大掃除の日

#富士山の日ともいう
#そういえば2/22に開業したい、なんて言っていた時期もあったりもしたっけ

さて、本題に入る前に前回書いた坐禅のときにお坊さんから言われた言葉で「面白いな〜」って思うことがあったんですよね。

「人間も動物も、追いかけると去っていきますよね」

これって本質ですよね。

だいたい片思いって実らないし、好かれようとすればするほど離れていってしまう傾向ありませんか。

これは恋に限ったことじゃありません。

職場でも辞めそうになる人をなんとかして、と思って色々手を尽くしてもかえってそれがおせっかいで辞めることになったり。

子供や動物なんかはもっとそうです。

子供に「遊ぼう!!」って言っても全然来ないくせに、こっちが真剣に仕事してたり本を読んでいると「遊ぼう」ってやってくる。

動物もそう。

犬も猫も、特に鳥なんかは追いかけると確実に逃げますよね。


でも不思議なことに特に何も考えないでいると、逆に寄ってきたりもします。


それがととのうってことなのかもしれません。

「何かしてやろう」っていうエゴが出てくると、なんとなく空気でわかってしまうんでしょうね。

大人はそれを「損得」だったり相手の顔を伺ったりすることで一時的に受け入れますが、それでもしんどくなって離れてしまう。

動物や子供はその空気感をダイレクトに受け取るので、近寄ってこないんでしょうね。


ただ自分をととのえて待っているだけでいいんでしょうね。

自分のやること、やりたいことを丁寧にやるだけでいいんでしょうね。

めっちゃシンプルです👍


さて、今日の本題。

立春を過ぎて暦の上では春になり、とてつもなく暖かい日もありましたが、三寒四温でまだまだ冬の気候といってもいいと思います。

冬は生き物にとっては衰退、あるいは眠りの時期。

草は枯れ、虫はいなくなります。

動物たちも冬眠します。

病気になったりあちこち痛くなるのも、メンタルが病んでくるのもこの時期ですよね。

この仕事をしていると冬って亡くなる子が多いんです。

先日もゴールデンの患者さんが亡くなりました。


この子は私が子犬の時から静岡で担当していた子です。

おそらく避妊手術もした気がします。

すっごい懐いてくれてずっと尻尾を振っていた子でした。

お家に遊びに行ったこともありましたし、白馬旅行にご一緒させていただいたこともありました。

東京に行ったあとは全然会えていませんでしたが、2022年の秋に調子が悪くなりMRIでくも膜下嚢胞が確認されました。

それぐらいで連絡があり「もう危ないかもしれない」と言われて往診に行ったんですよね。

往診に行った当時発作も出ていましたしなんとなく元気もない。

当時まだ8歳でしたが一気に老け込んだ感じがありました。

西洋医学ではステロイドで脳のむくみを抑えて、抗てんかん薬で発作を止める、という対症療法がメインですが、結局薬の影響も出るしそれだけだと手詰まり感があるため、ペイレイを使ったりオゾンを使ったり、そして薬を使っても発作が出続けていたので薬を変えたりと、色々していくうちに少しずつ元気になっていったんです。

結局そこから1年と3ヶ月ぐらい生きてくれたんですよね。


このお家には他にもゴールデンが2頭いて、毎月のように旅行に行っていたんです。

でも病気になってからはやっぱり「リスク」の話をされていたので、結構悩んでいました。

だから言ったんです。

「発作が出たら出たで対処すればいい、それよりも行きたいところに行ってあげたほうが元気になるよ」

っていったら結局月1どころじゃないペースでいろんなところに行っていましたね😊


この飼い主さんはめちゃくちゃ心配症なんです。

何かあるとすぐに病院に駆け込み薬をもらう、でもまだ不安、みたいな感じ。

連絡もしょっちゅうきていました。

だからこそ、しっかりと「生きている時間」に向き合って欲しかったんです。

全部でゴールデンは3頭いましたが、亡くなってしまったゴールデンが初めて飼ったゴールデンだったんですね。

私もゴールデン飼っていましたが、やっぱり特別な存在ですし、最初の子への思い入れはめちゃくちゃ強いんです。

このお家も最初の子がいい子だったから、結局その後2頭も飼ってしまったw

それぐらい思い入れの強い子が弱っていっている。

心配症な飼い主さんでしたし、ゴールデンを飼う前の子が亡くなった時のみんなの落ち込んだ表情も見ていたので、後悔のないよう「今、生きている」ことを大切にして色々連れていってもらったんです。


最後の1ヶ月は寝たきりでご飯もほとんど食べませんでした。

でも点滴をしたのは1度だけ。

2回目に「どうしますか?」っていったら断られました。

私もそれでよかったと思っています。

その1ヶ月、心の準備ができていったんだと思いますし、動物が、というか生き物が亡くなっていく経過をしっかりと見ることができた。

オゾンやペイレイは行いましたが抗てんかん薬以外ほとんど薬を使わず点滴もせず、枯れるように亡くなっていく様子をしっかりと見てもらうことができました。


なくなる前日も往診したんですよね。

もうそのときには目もうつろ、呼吸や心拍も早くて「あと数日かな」っていう話をしていたんです。

そのときに「動物はタイミングを見て亡くなりますからね」って話もしました。

お父さんが特に心配症なんで、絶対にお父さんのいない時か寝ている時に逝くだろうね、って話までして笑ってたんです。

そしたら翌日、普段リモートで家にいることの多いお父さんが仕事に出かけ、お母さんが朝の家事を終えてソファでうたた寝をしている間に亡くなりました。

本当によくわかっていた子でした。


犬も猫も、動物たちは自分がそろそろかなっていうことをわかっています。

だから人間が「そろそろかな」って思ったらあたふたせず、家でゆっくり一緒にいてあげることが動物にとっての一番の幸せなんだと思います。

色々してあげたくなる気持ちもわかりますが、歳をとりご飯も食べられなくなったら、あとは見守ってあげるだけでもいいんですよね。

もし食べたくなったらあげればいい、食べなかったらあげなくていい。

本当はそれでいいんです。


最後に余談ですが、多分人間も最期は分かっていますよ。

でも人間の場合は点滴に繋がれて時には胃ろうを入れられ、医療が介入しすぎることもあるためそのタイミングを逃してしまうんだと思います。


うちのばあちゃんはそのタイミングがわかっていたと思います。

肝臓がんでだんだん弱っていったのが自分でもわかっていたんでしょう。

今までしたことのない昔話を実に鮮明にうちの親や私にし始めたんです。

そして結構弱ってきた時に下血をして倒れて病院に運ばれたんです。

結果的にそこから3日間で亡くなりましたが、逆にいうと3日間以外は自由に生活ができていました。

なくなる前日、私はそこにいなかったのですがそこにいた人の話だと、来てくれた人たちに対して

「今までありがとう」

言っていたらしいんです。

その時は鎮痛剤も使っていたし意識はあんまりなかったみたいです。

それでも自分がそろそろってわかっていたんでしょう、ちゃんとお別れの挨拶をしたんですって。

さすがになくなる当日はずっと寝ていたらしいです。

でも私が仕事を終わって夜に病院に駆けつけ、手を握っていたらばあちゃんの目が急に開いたんです。

10秒もなかったと思いますが、しっかりとこっちを見ていたんですよね。

あれは最後の挨拶だったんだと思います。


その数時間後に亡くなったんですが、亡くなった時間が

2月22日の午前1時11分。

何かのメッセージ以外何者でもないと思うんです。


生き物っていうのは自然に従っていれば自分で死期を決めるんでしょうし、そのタイミングはおそらく「やりたいことをやり終えた時」なんでしょうね。

だから満足した顔をしてなくなるんだと思います。


老衰は病気ではなく自然の一部です。

治療も大切ですが個人を尊重することも大切です。

「逆の立場ならどうして欲しいか」

1秒でも長く生きて欲しい気持ちはわかりますが、逆の立場であればどうか、っていうところを考えると「そっとしてゆっくり寝かせてほしい」っていう場面が結構あると思います。

どっちでもいいんです。

どっちでもいいけど、相手の立場も尊重してあげてください。


では🤗

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執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、東京・神奈川・埼玉・静岡で往診しています。

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