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18歳と9ヶ月

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

実家の犬がリンパ腫だったことを今日思い出した林です。

今まで忘れていましたw


口からたまに血混じりの唾液が出る、ってことで見に行きました。

「どうせ歯でしょ??」みたいな感じで見に行って、口を開けてびっくりしました。

「こいつ、そういえば舌のリンパ腫だったんだ・・・」


そう、舌のリンパ腫だったんです。

何年前だったでしょうか?

奥さんの実家なんで私がいつも見ているわけでもなく、奥さんも「そうなんだよね〜リンパ腫なんだよ」っていうぐらいな感じw

多分3年ぐらい前?

舌がボコボコに腫れたんです。

口が痛くて食べなくなったんですよね。

それで近くの病院で調べてもらったら、舌のリンパ腫って診断が下ったんです。

その時言ったんです。

「なるようになるから、薬使わなくても良いんじゃない?」って。

処方されたステロイドを1度飲んだみたいですが、そのあとは全くの無治療。

サプリメントなんかも最初はやっていましが、だんだん飲まなくなってきたのと飼い主もめんどくさくなったんで、ここ2年以上、全く何も飲んでいませんでした。


で、今日久しぶりに気がついたんです。

本人の生きる気力というか生命力でなんとかなるもんですねw


まぁこれは稀な例かもしれないですが、なんとなくですが、あんまり気にしていない、ズボラな飼い主さんで、薬もちょいちょい忘れてしまい、再診も言われた日に来ない人の犬って、薬なくても生きてたりするんですよね・・・


不思議ですよ、本当。

生き物って思った通りにはいかないので、いっそのこと思うのを辞めてみています🤲


さて、そのリンパ腫の犬の母親犬が先週亡くなったんですよね。

ちょうど自分が1週間留守にする当日の朝、痙攣が止まらないと電話があり見に行きました。

どれくらい続いているのかと聞いたら1時間続いているってことだったんですよね。

今発作を止める薬を持っていないので、鍼やったり手当てをしたりして止まるかな〜なんて考えてやってみました。


あっ、手当てって結構効くんですよ。

何年か前の症例報告だったか論文だったか忘れましたが、麻酔前の鎮静で一番効果があるのって「抱っこ」っていう発表があったと思います。。

薬より人間の包容力の方が安心というか落ち着く。

これは当たり前といえば当たり前。


そして発作を止める薬と麻酔前にかける薬、麻酔の時に使う薬ってほとんど同じなので、だったら手当で行けるかな、と思ってやったんですが、結局ダメだったんですよね。

私が行って10分ぐらいで息を引き取りました。


18歳と9ヶ月・・・

めちゃくちゃ長生きでしたね。


まぁ無理に病院に連れて行って止める必要もないか、って思ったのは年齢的なものもあったからなんですが、発作のその子を撫でている時にちょっと不思議な感覚になったんですよね。


「お前、どうして欲しいの??」


素直にそう思ってしまった。


「お前はこの発作を出したくて出しているんだろ?なら止める必要ってない、というかお前の気が済むまで発作を出さないと止まらないんじゃないか?
 だったら気が済むまで出しな。」

そう思って数分で逝ってしまいました。


まぁ実家の子ですし今までも見てきた子なんで、こういう「犬に任せる」ってことで良いのかな、って思ったんですが、冒頭に書いたこの子の子供の犬は全てわかっていたようでした。

発作中、私が到着したらその母親犬のそばに寄り添うようにくっついていたんですよね。

それが「これ、もしかして死ぬかも・・・」っていう呼吸になった途端、自分のハウスに入って行ったんですよ。

多分わかったんでしょうね。


そしてもう一つ。

いつもは割と別々にいることが多いみたいなんですが、亡くなる前の夜、つまり発作が起きる数時間前にお互いくっついて舐め合っていたみたいなんですよね。


そう、もうそうなるようになっていた。

それを犬はわかっていた。

わからないのは人間だけなのかもしれないな、って。


犬を含めて動物って受け入れるのが上手ですよね。

どんな境遇になってもそれを受け入れる。

採血の時もそう、エコーやレントゲンで横にされる時もそう。

入院やホテルもそう、そして手術もそう。

飼い主が留守の時も、虐待を受けていたとしても、そして死ぬ瞬間も。


人間であれば発狂しそうな状態でも、動物って受け入れますよね。


動物の治療ってある意味でかなりの恐怖を伴うと思うんですよね。

飼い主さんと一緒に往診だったり診察室で診察していれば、安心感はあるかもしれないですが、飼い主さんと離れて、訳のわからないままどこかに連れていかれて、そして横にされたり隔離されたり。

さらには吐いていたり下痢をしてお腹が痛かったり、呼吸が苦しかったりしても、全て受け入れているんですよね。


その強さを見ていると、やっぱり人間が動物に育てられているんだなって感覚になるんです。

そしてその動物に対して、ちゃんと目を見て
「お前はどうしたい?」
って聞いてみることも必要なんだろうな、って感じなんですよね。


そしても一つ言えるのが、どんな飼い方だったりどんな治療を受けさせたって、絶対に動物は受け入れているってこと。

だから「あ〜しておけばよかった」とか「あれをしなければよかった」っていう後悔、「この先どうなるんだろう」っていう不安、そういったものはあんまり必要ない気がするんですよね。


それよりも動物たちが望んでいることは
・家でゆっくりできる
・ご飯が食べられる
・散歩したり遊んだりできる

そしてそして
「飼い主さんと安心して過ごすことができる」

これだけなのかな〜なんて親子犬を見て思ったのであります🤲


今日は肉じゃがです😎


では🤗

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執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、東京・神奈川・埼玉で往診しています。

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