ブログ

延命とは??

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

静岡のお祭りを満喫してきた林です。

働き出してから初めてですね、あれだけ楽しめたのは。

実は今まで楽しいことなんてたくさんあったはずなのに、それをいかに見逃してきたのかを痛感しました😅

すでに日常にたくさんこぼれ落ちてるんですよね、そういった楽しい、幸せな出来事って。

#ISSAはめっちゃカッコよかった


さて、先日近所の方と飲んでいた時にこんな話になったんです。

「動物も延命治療とかあるの??」


延命治療、人間では色々と考えさせられるところがありますよね。

一般的に皆さんが考える延命治療っていうのってどんなですかね??

私は人間で言うと
・胃瘻チューブ
・気管チューブ
・点滴
なんかを使い、意識がない、もしくは自分の意思を表明できないような状態になった方を栄養を送り、呼吸を助けてあげることで生きさせてあげる状態、って捉えています。

これに関しては100人いたら100通りの考えがあると思いますので、これが正解っていうものは存在しないと思っています。

基本的にこのような状態は入院管理でないと保てませんので、動物に対してはここまでなるのは少ないと思っています。

実際に救急病院に勤めていた時には、状態が悪くなった子に上のような処置を施すこともありましたし、呼吸が悪く意識もなくなってくると気管チューブを入れて人工呼吸器に繋ぎ、生かしていることもありました。

でも大体は数日で亡くなってしまいます。


でも一般的に言われる動物での延命治療っていうものはこのような大規模なものではなく
・皮下点滴
・口からの強制給餌
・自宅での胃や食道チューブからの流動食の給餌

なんかでしょうか?

私は「抗癌剤」も延命治療に入ると思っています(延命になっているかは不明ですが)


何が延命なのか、これにはさまざまな議論がありますよね。

動物には病気を治す「自然治癒力」ってものが備わっています。

結構な病気はそのまま放っておいても良くなると思っています。

でも医療が介入しないとダメな病気も多い。

脾臓破裂、胃捻転、心不全、てんかん発作・・・

一刻を争う場合は医療が入った方がいいこともありますよね。

そうするとどこからが延命なのか??

医療が入ること自体が延命と言われれば延命ですが、それを言ってしまうとなんだか虚しくなってきます。


「延命」って自分としては言葉の響き的に、少しネガティブな感じがしています。

命を引き延ばしているようなニュアンス。

もちろん捉え方は人それぞれなんで、それでもいいって方もいると思います。

でもやっぱり自分が生きる上で、そして命のやり取りを扱う職業についている上で、どこまでが延命で、というかどこまでだったら自分はやって欲しいのか?
そしてどこまでなら動物にもやってあげたいのか?

これって死生観として定めておいた方がいいと思っているんですよね。

もちろんライフステージで変わってくると思います。

犬の1歳と18歳ではやることは異なってきます。

これは当たり前で、人間の子供や20歳前後の人と100歳を超えた老人と、全くおんなじ治療をするってことはありえないと思っています。

その上でどこまでが許容できる治療で、どこからが延命なのか??


これはあくまでも自分の主観になるんで、皆さんに強要するつもりは無いし、むしろ皆さんも考えて欲しいなって思うんですが、自分としては

「自分がされて嫌なことは動物にしない」
「それ以上生きて何をするかが大切」

こう言った観点で診察をしています。

はっきりと言ってしまうと、延命処置なんてものは

全て残された人間側の問題

なんですよね。

人間の医療の場合は本人にはもう意思がなかったりします。

その中で生きながらえることって、本人にどこまで価値があるんでしょうか??

みんな言っています。

「自分だったらやって欲しくないかもしれない」

でも実際に、私もわかりませんが、親や配偶者が、そして子供がそうなった時って

「なんとかして、意識がなくっても生きていてほしい」

そう思うんじゃないでしょうか??

だから難しいんです。


動物もそうですよね。

動物たちには「もっと生きたい」なんて願望は存在しないと思っています。

動物には未来も過去もなく、存在している時間帯は「今」そして「ここ」だけ。

そんな動物が「あと1ヶ月ぐらいは生きたいな〜」なんて思っているはずがないです。

ではなんで延命をしてしまうのか?って言ったら、残された方の心構えができていないからです。

今死なれると後悔してしまうからです。

「もっとこうしてあげればよかった」
「もっといろんなところに連れて行ってあげればよかった」
「もっといろんなものを食べさせてあげればよかった」
「もっと優しくしてあげればよかった」
「もっと一緒にいる時間を大切に過ごしていればよかった」

他にも後悔する内容は後を断ちません。

無限に出てきます。

延命治療っていうのはその準備期間なような気がしているんですよね。

身体が弱ってきてだんだん死に近づいていくっていうのは、生き物としては当然のことです。

そして動物たちは、いや人間もそうですが、自分がそういう状態にあるって認識していると思うんですよね。

動物の中には最後を決して見せない子もいますし、家族と共に迎えたいのか、家族が揃うまで待っている子もいます。

うちの祖母は亡くなる2日前に意識朦朧の中、お見舞いに来た方々に
「今までありがとう」
って言ってから亡くなりました。

わかっているんですよね。

自然に任せていると今自分がどんな状況なのかって、わかっているんだと思います。


だから延命治療なんてものは全ては残された側の問題だと思うんですよね。


じゃあどこまでやるのか??ってなった時に、それをやって動物がどう感じるのか?
そして命が数日でも伸びたら実際に何をやってあげたいのか??

これで決めればいいと思います。


いろんなことをするのはいいんですが、それで伸びた命でお留守番をする時間が増えるだけ、病院に通う回数が増えるだけ。

そんなんでは動物は生きたいと思いませんし、かわいそすぎます。

そんなことよりも命があるんだったらいろんなところに連れて行ってあげて、いろんな食べ物、もちろん人間の食べ物でもいいです、を好きなだけあげてみる。

仕事なんて有給で休んでみたりする。

そうやって少しでも動物が楽しめるようにできるんだったら、治療をしてもいいと思っています。

でもね、それだったら治療なんてしなくたってできるんですよ。

歳をとって来てそろそろかな〜って思ったらもうなんでもあげてみてもいいと思うんです。

そして普段からいろんなところに連れて行ってあげてもいい。


多分みんな忙しすぎるんです。

みんな動物がいるのが当たり前だと思っているし、目の前の人がいるのが当たり前だと思っている。

で、それが永遠と続くと思っているから普段を大切にしない。

だからもしかすると、っていう状況になると急にバタバタするんですよね。


延命かどうか、って難しい問題です。

残される側の問題だからこそ「やりすぎてしまったのかな〜」って思ってしまう方も多い。

最初の子がそうだったから、もうあんな治療はしたくない。

そう言われる方もいます。


普段から少し余裕を持って「この子は何をして欲しいのかな〜」って考えることも大事です。

そしてそれ以上に「自分はこの子に対して何がしたいのかな〜」って考えることも大事です。

そしてそして、「自分が本当にしたいことってなんなのかな〜」って考えることはもっと大事です。


普段からそういう心持ちで生きてみると、延命治療に関する考え方も変わるかもしれませんよね。


では🤗

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、静岡と東京を中心に往診をしております。

おすすめの記事
こんな記事も読まれています
記事URLをコピーしました