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不安から不安が生まれる②

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

前回の続きです。

みなさんは健康診断をなんでしますか??

・病気の早期発見のため?
・健康かどうかを確かめるため?
・周りがやっているから?

いろんな理由があると思いますが、私は基本的に健康診断はしません。

うちの犬もほとんど病院に入っていません。

いや、昔はしていました。自分の場合は会社でするように言われていたからやっていましたが、犬たちは毎年血液検査をしていました。

そして自分も動物病院にくる子たちに毎年するように言っていました。

時には「犬や猫は1年で人間で言うと7歳ぐらい歳をとるから、年に2回やった方がいい」とも言っていました。

でも今は「やった方がいい」って言うのをやめました。

「やってもいいしやらなくてもいいけど、俺ならやらないです。」

そう言っています。


これもタイトルに関係しているんですよね。

結局なんで健康診断をするんでしょうか??

健康診断って「健康かどうかを診断する」検査、って言う私の認識です。

だから自分が健康だって言う認識であれば、特に受ける必要はないと思うんです。

もしどこか調子が悪いな〜って思っているなら検査を受けた方がいいかもしれませんが、それはもう健康診断ではないですよね。

大体の人が
「自分は健康だと思っているけど、もしかしたらどこか調子悪いかもしれないし、病気が潜んでいるから」

と言って健康診断を受けるんじゃないでしょうか?

これって「不安」から始まっていますよね。

なんでそう思ったかって言ったら、テレビやネット、SNSなんかで健康診断の重要性を謳っており、「病気の早期発見」って言っているからじゃないですか?

そんなものを見なければそもそも「健康診断を受けよう」ってならないんだと思います。

それも不安から始まっている。


ここからは動物の話。

10年以上動物の健康診断を春にやってきて気がついたことがあります。

「健康診断で病気の診断なんてできない」

稀に以上な数値があったりで病気が見つかることがありますが、今元気で全く体調が問題ない子がそうなることはほとんどなかったです。

高齢の子だったりなんとなく元気がない、って言う場合に検査をしたら数値がおかしかった。

こう言う場合がほとんど。

なんなら健康診断の結果が出る間に具合が悪くなって再検査した子もいますが、そう言う子って数日前の健康診断の数値は問題なく、症状が出た時の数値は異常値、ってこともあります。

私は健康診断で病気の早期発見はできないと思っています。

人間の場合はわかりませんが、犬猫は症状が出てから検査をしないと、はっきりとしたことは分かりません。

その症状、違和感を見逃さないように、普段のコミュニケーションをしっかりとっている方が重要だと思っています。


また、健康診断をして肝臓や腎臓の数値が少し高くて、エコーや再検査をしてもよくわからなかった経験ってありませんか?

そう言う時って大体「数ヶ月後に再検査」だったりしますが、その間食事や生活を変えない場合、下がっても下がらなくても、上がったとしても原因がわかりませんよね。

「様子を見ましょう」ってなんの解決にもなっておらず、不安が増すばかりなんですよね。


もしそんな場合はおやつやフードなんかを変更して、数ヶ月後に再検査なら数値の評価ができます。

だから個人的には高齢になって食事にムラがあったり、猫なんかで偏食な子に関しては検査をしても改善できるところがないことが多いので、勧めていません。


検査をすると数値に一喜一憂し、不安を抱えることが多いです。

もし検査をしないと不安で仕方がないのであれば、検査はした方がいいと思います。

でも検査をしなくても別に元気だからいいかな、って思ったら、それでいいんだと思います。


不安っていうのは必ずマイナスからのスタートです。

そうなるかどうかもわからない、謎の暗示から不安になります。

実際はその不安は現実になっていません。

そしてその不安が解消された時、よくてもプラマイ0に戻るだけな気がしており、大体は不安が完全に取り除けることはなく、マイナスが残るイメージです。


でもその謎の暗示を知らなければ、気にしなければ最初から0です。

不安を抱えきちんと解消された時と同じ気持ちです。


知った方がいいこともありますが、最近は知らない方が良かったっていうことの方が多いような気がしています😅


「備えあれば憂いなし」

ことわざでありますが、これは物質的な話ではなく精神的な話なのかな、って思っています。

病気になった時のために備えようと思うと、何を用意していくら用意したらいいのか・・・

わからないですよね。

だから高い保険に入るんだと思いますが、一つ言えることは保険に入っても病気にならないわけではないですし、病気を治してくれるわけではありません。

それよりは日頃から生活に気をつけ、病気になったときは自分でもやれることをやれる範囲でやる、という覚悟を持つことが大切だと思います。

病気を治すのはいつだって自分自身ですので。


地震なんかの自然災害もそう。

地震に備えて様々な災害グッズを持っていたり備蓄をするのもいいですが、就寝中や外出中に災害が起きた時、その備蓄を持って外に出ることは不可能。

それよりは近所の人としっかりコミュニケーションをとり、災害が起きた時はしっかりと生き抜く、と言った覚悟の方が役に立ちそうな気もします。


もちろんこれは個人の考えなんで、「そんな意見もあるのね〜」ぐらいに聞いておいて欲しいんですが、まだ起きていないことにビクビク怯えながら生きるのって楽しくないですよね。

それよりは自分の楽しめることをしっかり楽しみ、楽しむことにお金と時間をしっかりかけてあげればいいんじゃないでしょうか??


では🤗

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執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、東京・神奈川・埼玉・静岡で往診しています。

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