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動物は死ぬタイミングを見計らっている?

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

北海道に来たからにはスキーをしたい!!ってことで電車とバスでスキー場に行こうと思っていたのに、乗換案内通りにバスに乗ったらなぜかスキー場から離れて行ってしまった林です。

スキー、諦めましたw

そしてカフェでブログを書いています。

北海道まで来てカフェでブログ・・・


超贅沢ですね〜


さて、昨夜患者さんから電話がありました。

「うちの犬が亡ったかもしれない」


先週ひじきを食べた、というブログを書いた18歳のダックスです。

その時から「もしかしたらそろそろかな」っていうぐらいの感覚はありましたが、昨夜その時が来ました。

この子は2年前に膵炎、腸炎がひどくなってステロイド、免疫抑制剤なんかを使ってコントロールしていましたが、なるべく薬を使いたくないとのことで診察を始めた子でした。

治療から数ヶ月で薬を辞め、下痢も落ち着き、1年半ぐらいはほとんど投薬なしで過ごせました。

そして18歳になる直前ぐらいから体調を崩していたんです。


体調を崩してから1ヶ月半ぐらいで亡くなっちゃったんですよね。


18歳の犬っていうと人間だと100歳ぐらいでしょうか??

めっちゃ長生き。

しかも無くなる前日もファミチキ食べたって。

とても幸せですよ。

でもね、飼い主さんは「もっとやってあげられたんじゃないか?」って思っています。

そして飼い主さんがいない時に亡くなってしまった、それも心残りあるようでした。


当然その氣持ちはありますよね。

最期を見られなかったから「苦しかったんじゃないか?」

そうも仰っていました。


でもビデオ通話で亡くなったこの顔を確認したんですが、そこにはただ息をしていないだけで、なんか目を開けて寝ているような、そんな姿が映っていたんです。

「苦しそうに見えます?」って飼い主さんに聞いたら「そんな感じはなさそう」って。


私は死んだことがないし臨死体験もしたことはないですが、死ぬことってその瞬間は辛いとは限らないと思うんです。

人間の臨死体験をした方の話を何人からか聞いたことがありますが、お花畑が浮かんできた、っていう方が多いんですよね。

地獄だとか鬼だとか、そういった表現をされた方はいない。

さらに老衰に関する本を読んだときに、脱水が進んでくると脳も脱水してくるので、意識が薄くなっていくんだとか。

さらにはエンドルフィンという脳内麻薬が出るんだとか。

これはランナーズハイの時だったり出産の時だったりに出る、モルヒネの超強いバージョンの痛み止めみたいなもの。

そんなものが出るんですって。


どんな感じなのかな〜って考えたんですが、あの2度寝の、うたた寝の、超気持ちいとき?

夢を見ているのか見ていないのか、みたいな時?

あとは授業中に寝ているような時??

そんな感じなのかな〜って。


絶対に辛くない、とは言いませんが、辛いとは限らないと思うんです。


さらに、ですよ。

これはこのブログでも何度か書いていますが、動物って死ぬタイミングを知っています。

いや、動物に限らず老衰というか自分を見つめている方、無理に頑張っていない人間も亡くなる時を見計らっている氣がします。

うちの犬は9歳で死にました。

前日まで元気そうでしたが朝倒れ、夕方4時半ごろに亡くなりました。

その日は親が午前中仕事が休み。

そして私もそれまで忙しかった研究室もひと段落しており、学校には午後から行こうと思っていた日。

そんなみんなが家にいる日に倒れたんです。

それが1日前後しただけで、もしかしたらうちの犬は一人で亡くなって行ったかもしれない。

そして最後病院に連れて行こうと思った車の中で、車に乗った瞬間に息を引き取ったんですが、その顔は
「もう連れて行かなくていいよ」
っていう顔をしていたんです。

俺は酷い飼い主だったと思います。

みんなが考える理想的な飼い主とはかけ離れていたと思います。

16歳の時、高校に行かなくなって寂しかったんでしょうね。

急に犬が欲しいと親に買ってもらったゴールデン。

散歩の時も高校に行けないような不安定な精神状態の自分の相手をしてくれてたんですよね。

じぶんの意にそぐわないと怒ったりもしていました。

そして大学に入ると授業だったりバイトだったり、冬はスキーだったりと、ほとんど家にいなくなった自分。

でも散歩の時は喜んでくれていました。


本当に自分勝手でした。


今アジリティやキャンプなんか行っている患者さんたちの犬を見ていると、本当にうちの子には何もしてあげられなかったのかな〜なんて思います。


でもそんな子でも、最後亡くなる時は辛そうな顔をしていなかったし、満足していたように思えたし、こっちを責めているような顔もしていなかった。

そしてちゃんと自分の腕の中で亡くなっていった。


そして、その時に亡くなっておかげと言ったらおかしいかもしれないですが、実家を出ることを決意でき、くそ忙しい病院で勤務し救急病院で勤務することにもつながり、さらには家族を作ることにもつながった。

そういうタイミングを、なんか全部見計らわれていた、そんな氣がするんです。


で、今回のダックスは飼い主さんが留守の間に亡くなったんですよね。

それを飼い主さんはすごい後悔していました。

でもそれも愛情表現なのかなって思うんです。

犬も飼い主さんが悲しがる姿を見たくなかったのかもしれないな、って。

そして変に心配かけたくないなって。


私は往診に行った時、たまたまその場で犬が亡くなったことが2回あります。

本当にたまたま。

調子が悪いから行った、というよりは予定していて行ったら、たまたまそこで息を引き取った。

そういう犬が2頭いるんです。


おそらくその犬からしたら「お母さん一人の時に亡くなったら、この人は耐えられない。だから誰かいる時に」みたいな感じだったのかなと。

そしてその2頭とも、氣がついたら息をしていない、なんかそれぐらい自然に、ごくごく普通に、なんか時の流れに身を任せるように亡くなって行ったんですよね。


あっけなさすぎてその場にいた誰もが「えっ?」っていう感じ。


これ、人間だと理想って言われているやつです。

朝ごはんを食べて、寝ていて、氣がついたら亡くなっている。

そういうやつ。

そういうやつを動物ってあっさりと、実にあっさりとやってしまうので、人間からすると圧倒されちゃうんですよね。


動物は全部やりたいことをやってから亡くなるような氣がしています。

もちろん「もっとやってあげたかった」という氣持ちは湧いてくると思いますが、動物は感謝していると思いますよ。


幸い昨日の患者さんの元にはもう1頭犬がいて、そいつは昨日のビデオ電話で後ろに映り込んでいたんですが
「今日は僕は関係ないですよね・・・」みたいな顔をしていたので、その子にその患者さんも癒やされていると思います。


ってことでしんみりしてしまったので最後にこの写真を

Screenshot

狙っていきます😎


では🤗

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執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、東京・神奈川・埼玉・静岡で往診しています。

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