ブログ

一から考える 動物医療編②

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

鎖骨骨折生活44日目。

昨日初めてスーツケースなるものを買った林です。

今まではよく高校生が持っているスポーツバッグみたいなものを旅行の時や実家に帰る時に使っていましたが、さすがにあれは電車移動がきついし、一回中に入れると最後、もうぐちゃぐちゃになってしまって何がどこにあるのかがわからなくなってしまうため、大人の仲間入りとしてスーツケースを買ったんです👍

はい、鍵の開け方すらわかりませんでした😅

往診にも行けるようになってきたので、来月から東京での往診も再開しようかなと思っていますが、車移動は中々疲れるw

向こうで往診するときは平均して1日5時間ん前後は運転をしています。

そしてお家でも基本的に座っている。

普段暇があれば散歩や自転車に乗っていた私にとっては、結構それがしんどいんですよね。

だから往診の日はめっちゃ疲れる。

なので次からはスーツケースコロコロさせて、電車でもいいのかな〜とも思いました🙋‍♂️


さて、前回の続き。

私はもうすぐ獣医師になって12年が経ちますが、最初の5年ぐらいは今の医療に対してあんまり疑問も持っていなかったですし、自分が治している感覚ももっていました。

薬も普通に使っていました。

皮膚炎が来たら抗生剤もステロイドも出していましたし、ステロイド入りの軟膏はバンバン出していました。

ワクチンも毎年普通に打っていました。

漢方だったりサプリだったりハーブだったりなんて、胡散臭いと思っていましたし、「氣」の存在なんて知ろうともしていなかった。

まさに現代獣医学、西洋医学が全てだと思っていましたね。

その理由はそれしか知らなかったからなのかもしれません。

学校で習ったこと、獣医になってから読んだ本、行ったセミナー、そして働いていた病院でやっていたこと。

全ては西洋医学100%、漢方や鍼灸なんてやりませんし、食事のことも習いません。

メンタルが病気に関わっているなんて話は当時聞いたことがありませんでした。

日本人は「病は氣から」って言っていたのにもかかわらず、そういう概念は習いません。


病気の原因は最近だのウイルスだの遺伝子だの、どちらかというと自分ではどうしようもなく、もうそれはしょうがないよね、というしかないようなもの。

そして治療法はその症状を抑える薬だけ。

それか悪いものは取ってしまえばいいということで手術。

これしか知らなかったんです。


確かに何度も言うように緊急時は抗生剤やステロイドなんかのお薬や手術が必要なことが多いです。

逆にそんな時は手術をした方がいいし、私も割と短期なんで手術まで持っていくのは早い方だと思います。

悩んでいる時間がもったいないから処置をしながら悩むし、手術をするにしてもしないにしても、とりあえず点滴だけはさせてくれって言って預かるタイプです。

だから緊急時はそれで良かったんだと思います。

でも動物病院に来ている患者さんの9割ぐらいは命に関わったりQOLを落とすような緊急の子じゃないんです。

ちょっと下痢をした、皮膚が痒い、元気だけど咳、みたいな、人間であれば病院に行かないような内容で来ている子が多い。

そんな子たちに対して今だったら「食事変えたりして少し様子みて」みたいな感じに言っているでしょうが、当時の私は診察したのだから結果を出して返さないと、って言う思いもあったのか、普通に薬を出していました。

多分何もしなくても治っていたんでしょう。

と言うか何もしない方が身体にとっては負担なく治ったと思います。

でも当時は様子を見ることがいいことなのか、経験もなかったし教科書にも載っていないので判断ができなかったんですよね。


それがいろんな患者さんを見て、救急病院で働いてみて、そして飼い主さんの家に行ったり一緒に飲みに行ったりする中で、いろいろ気がついて行ったんです。


まず薬を飲んでいる子って、ずっと飲み続けないといけない、っていう風に思っていませんか?

私もよく言っていました。

アレルギーやてんかん発作は治らないし、心臓は悪くなる一方。

早くから薬を始めた方がいいって。

でもそれ、本当にそうなのか?って疑ったことありますか?

なんでそう決めつけられるのか?

アレルギーなんかは治らないと言われ、一生付き合い続けていく病気の典型ですよね。

でも最近思ったんですが、「一生治らない」って絶対に言ってはいけない言葉なんですよね。

だってそれを言われた飼い主さんは「この子は一生治らない」って程度の差はあれど思うはずです。

ってことは何も症状がない時も常にアレルギーのことを気にするってことでしょ?

「一生治らない」って刷り込まれているから、すっごく神経質になりますよね。

1回ならいい、でも3回でも続くともうこのまま一生・・・っていう思いになりませんか?

自分の話になりますが、この前メガネを作りに行った時に「もうそろそろ老眼の年ですね」って何気なく言われたんです。

向こうは深い意味はないと思います。

でも言われた本人はどんな気持ちだったか!!!

#まだ気にしている・・・

だからね「薬はずっと飲み続けなきゃいけない」とか「一生治らない」なんてのは言ってはいけないんです。

もし一生治らないって思っているのなら、その人が一生治せないって思っているだけって考えてください。

だってね、なんでそうなったのかもわからないのが現代医学です。

今までの環境はみんな違うのに、症状が似ているからと言って同じ治療をしていたら、まず治りませんよね。

なんでなったのかもわからないのに、ただ薬で抑えているだけって、車の警告灯がついているのにただそのスイッチを切っているだけと同じですよ。

少し検査をすればエンジンオイルが少ないのか、ガソリンが少ないのか、冷却水の問題なのかわかります。

でもなんでそれが少なくなったのか、と言われれば乗り方がおかしいとかちゃんとメンテしてなかったとか。

車屋さんならそこまでアドバイスしてくれますよね?

でも動物病院ではそういう日常のアドバイスはなく、薬を出しておしまい、療法食を出しておしまいってことが結構あります。

実際に自分がそうしていました。

「本当に一生治らないのかどうか?」を考えるならば、本当の原因は何かを考えなければいけない。

それでも究極、人間が生き物に対して、生き物の命に対して言えることなんてほとんどないんですよ。

だって生き物は人間が作り出したものではないから。


車や機械は人間が作ったから設計図もあり、「ああすればこうなる」っていうのが通用しますが、生き物は違う。

そもそもその症状がなんで出ているのかもわかっていない。


例えば下痢なんかは獣医学的にいうと悪玉菌が多いとか消化不良だとかって話になり、抗生剤や下痢止めなんかを使います。

でも身体はなんでその症状を出したのかというと、お腹の中のものをスッキリさせたかったためであり、止めてはいけないし、邪魔をしてはいけないんです。

ひどい下痢じゃなければ食事を控えて大体は、放っておけばいいんです。

人間なら下痢をした時は食欲が落ちてそのうち治りますよね。よほどひどくない限りは。

それでいいんです。

他の症状も何かしらの意味があって出ている。

この辺が機械と違うところだと思います。

ただそこを直せばいいわけじゃない、なんでその症状を身体は出さなければいけなくなったのかをしっかり考えないと、治療を始めるスタートラインにすら立てないんです。

治療しなくても治っていくものがほとんどですし、身体はそうやってできています。

そしてその症状が出ているってことは身体にはゴミが溜まって、身体は疲れてきているのかもしれません。

そういうことも踏まえて「治るか治らないか」、もっというと「身体がととのうか、ととのわないか」を言ってあげないとダメなんじゃないかって思ったんです。


ね?そうやって一つ一つ考えていくと、今まで自分がやっていたことってどうだったのかっていう検証が一から必要になってきたんですよ。


ってことで今回はここまで〜


では🤗

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、東京・神奈川・埼玉・静岡で往診しています。

おすすめの記事
こんな記事も読まれています
記事URLをコピーしました