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これからやること、やらないこと

ときわのもり動物病院

こんにちは〜

朝から2時間畑の草刈りをしていた林です。

昨日は小学生に
「今日仕事は?」
と聞かれて
「今日は休み〜」
って答えたら、
「昨日は?」
っと聞かれたんで
「ん〜、仕事っていう仕事をしていないかも・・・」

と答えざるを得ないぐらい、仕事をしているのかどうなのかわからない日々を送っていますw


実際獣医になってから12年間やっていた仕事はほとんど今はしていません、っていうか全くと言っていいほどこの1年でスタイルが変わりました。

動物病院に出勤することもなく、どこかに勤めることもなく、どこかからお給料をもらうこともなく。

そして下痢の子に整腸剤と抗生剤を出して終わり、っということもなく
皮膚が悪い子に抗生剤とステロイドと塗り薬を出して終わり、っていうこともなく
元気な子に健康診断をすることもなくなりました。

本当に数年前までとは全く違った内容の仕事をしています。


この1年、いろいろな葛藤が自分の中でありました。

「俺はこの先、どうしていったらいいんだろう・・・_


八王子の動物病院をやめた後、静岡で開業をしようとテナントを考え始めました。

「今までにない動物病院を作りたい」

そう思ってテナントを探し、色々と考えておりましたが、今までにない動物病院を作るも何も、自分は今までの普通にあった動物病院でしか働いた事がなかったので、その中で作ろうとしていた動物病院も多分一般的にみたら普通の動物病院だったと思います。

・受付
・診察室、検査機器がおけるスペース
・手術室&レントゲンが撮れるスペース
・入院できるスペース
・トリミング

それをどのようにして使うか、どのようにして使えばお金がしっかり回りながら無駄なことをしなくていいのか?

そしてそれだけだと普通に病院になってしまうので、カフェというかお茶を出せるコミュニティスペースを作ってみてもいいのかな〜とも思っていました。


でも無理だったんでしょうねw

うまくいかないってことは、それをやるタイミングじゃないってことだと思っています。


今思うと「一人で頑張ろうとしすぎていた」んだと思います。


自分のやるべきこと、やらない方がいいことをしっかりと分けてなかったんだと思いますね。

例えばトリミングなんてそこらじゅうにあります。

わざわざ俺が病院でやる必要もないんですよね。

でも実際に自分が診察している病気の子だったり高齢の子がいけるトリミングがないと困るだろう、ってことで自分で作ってしまえ、って思っていました。

カフェもそう。

動物がいてもいなくても来られるスペースってない、なら自分で作ってしまえ、って。


でもそれって本当に俺のすることだったのか??って言われると・・・

それで診察ってなったら多分パンクしていましたねw

しかも家賃も従業員の給料も払わなければいけない。

色々やろうとすればするほどそういうのって必要になってきて、自由からは程遠くなっていってしまう。

そう、私の一番好きな「自由」がなくなってしまうww


ってことで色々考えながらやってきたこの1年ですが、気がついた事があるんです。


「いつも診察している患者さんは自分でなんとかしなきゃって思っていたけど、いざ病気になってみるとその時に必要な人が近くにいるもので、それは自分が診察をするよりも良かったりする。」


特に救急なんかそうですよね。

救急病院で働いていた頃は「なんでこんな程度の症状で送ってくるんだろう」って思っていましたが、普通に病院を開院していると簡単な手術でも他の診察が入っていると難しかったり、ベストな布陣でできない可能性もあります。

だからそういう時は救急病院に頼んじゃえばいいんだと思います。

で、救急で働いていた時「自分はすごいことをしている!!」「街の病院だとここまではできない!!」なんて思いでやっていたりもしましたが、ほとんどの街の病院にくる救急症例はその場でなんとかなるものです。

いや、ならなかったとしても次の病院に行けばなんとかなる。

そういう病院が地域にはいくつかは必ずあります。


だからこそ思ったんです。

わざわざ自分が始めなくてもいいのかもしれない、って。

自分で始めるってことはそりゃ患者さんにはいいかもしれません。

でも獣医師も人間です。

救急病院で働いていた時に感じたのは、こんなことをずっとしていたらそのうち確実に自分の命が亡くなるだろうな、ってこと。

それを5年ぐらい前に感じていました。


多分自分は救急は好きですが、そういう環境で働くのが無理なんだと思います。

精神が崩壊していくんです。

患者さんからは「何かあったら診てね」って言われます。

もちろん何かあった時は診ます、でも自分の健康を害してまでは診るつもりはありません。


救急病院時代、そこにいるみんなが疲れていました。

獣医師、看護師、その他のスタッフ、そして患者さんや動物に至るまで。

みんながなんか疲れていました。


だからこそ思ったんです。

そのまま救急を続けるより、救急に来る患者さんが少なくなるようにした方がよりみんなが幸せなんじゃないか?


これからはこの天秤なのかもしれません。

自分で診察する方がみんなが幸せになるなら自分でするし、診察をするよりも話をしたりブログを書いたり、新たな考え方を提供したりすることでみんなの心が和らいで、病気の予防につながるんだったらそっちを優先する。

今は後者なんですよね。

もちろん自分でも診察はしています。

でも今までのような診察はもうしないと思います。

検査して教科書に当てはめて薬を出す。

これが有効なのは救急疾患だけです。

救急病院で働いていない自分にはそのセオリーはほとんど意味をなしません。


逆にそういう診察をやめる、って決めてしまったら本当の原因、根本的治療を考えるようになってきています。

そして飼い主さんにまずは安心して買ってもらうように、いろいろな経験から得た知識を踏まえ、今どう考えているかをお話しする。


今はこっちの方が価値があると思うんですよね。


そういう考えが浸透し病気になる子が少なくなった時に、救急医療が最後は残ると思っています。

その時にそれをやればいいのかな〜とも思っています。


よく「救急の経験があるんだから、手術とか処置とかしないのはもったいない」って言われます。

それ、自分でも思っていました。


でも救急を経験したからこそ、そうならないために考えることも必要なんだと思っています。

まぁあとはみなさんがどっちがいいかですね。

このまま検査して薬を出して、症状は抑えられているけど原因は??って感じで、食事もドライフードだけにしてください、がいいのか。

それともいろんな可能性も含めて、もちろん家庭環境や生き方も含めて、そこを見つめ直していく方がいいのか。


ってことで皆さんに今までとは違った角度でさまざまなことを知ってもらうような感じで、これから仕事を進めていこうと思っています。

では🤗

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執筆者
林 潔高
林 潔高
獣医師
林 潔高(はやし きよたか)

2012年に日本大学を卒業後、静岡市内および東京の動物病院で勤務。

2019年から2年半、24時間体制の動物病院「動物救急センター」で勤務。

2021年より東京の動物病院で院長として勤務した後、2023年に独立。

現在、静岡と東京を中心に往診をしております。

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